毒入り饅頭 [諸行無常]
新卒間もないころの体験談です
職場には「しゅうとめ」と陰で呼ばれている女性がいて
初出勤の日 早速 いじめ洗礼を受けました
これまでも繰り返してきたようで
社長も
いじめ対象外の男性社員も知るところでした
一年先輩の女性もいましたが
彼女は「雑用は後輩の仕事だから!」と
書類を私の机に投げつけるような人だったので (この人は小姑と呼ばれてました)
入社後 一年間は 辛い職場でした
２年目に後輩が一人入ってきました
次の年にはもう一人
その次の年にも・・・。
毎年 女子社員を一人ずつ採用する会社だったのです
先輩の立ち位置になったところで
私は雑用のシステムを変えました
これまでは「雑用は後輩にやらせる」が社風だったのです
私は共同作業にしたり交代制にしました
全部押し付けられなかったので
しんどさはありましたが
後輩たちとの関係性は良好で
休憩時間の雑談や
休日にもコンサートや買い物を共にしたり
友達感覚でした
職場は楽しいものになりました
すると「小姑」さんも「新人連盟」に入りたがったので
入れてあげました
ただし、この人は職場の同僚は職場だけの関係と割り切っていたようなので
友達感覚にはなれず
その性格傾向から友達には不向きな人でもありました
でも、こうした勝気な女性が好きな男性もいて
彼女は数年後 職場の草食系男性と結婚
退社していきました
「しゅうとめ」さんの常軌を逸した態度は相変わらずで
トイレに呼ばれて長々と文句を言われる後輩もいました
ですが、「しゅうとめ」さんからのいじめの痛手も「新人同盟」はシェアしましたので
独りで受け止めていた頃のような辛さはありません
そして社員旅行
参加しなかった「しゅうとめ」さんに
お金を出し合ってお土産を買っていくことにしました
イヤでしたけど 義理です
一応 ありがとうと言って受け取った「しゅうとめ」さん
翌日 その饅頭は掃除の折
事務所のゴミ箱から見つかりました
「あの子たちのくれたものなんか
毒が入ってるから食べられない」と言ってたよと目撃者の証言
せっかく用意したのにと
その日の昼食時
新人連盟はこの話題で持ち切り
でも 誰も「しゅうとめ」さんの心情は解りません
今思うと 彼女はしっかり
自分のやってきたことを自覚していたんですね
そして 後輩たちから嫌われていることも知っていました
だから悪感情の入った饅頭 食べられなかったのです
なぜ 嫌われる態度を取り続けるのでしょう
今も謎です
