ある画家の話 [諸行無常]
私が小学校5年生ぐらいの頃
新聞に短編小説が掲載されていました
とある画家の話です
その画家はたくさんのレッサンを描き
気に入らないものは丸めてゴミ箱へ
それを見た弟子
「先生 なんてもったいないことをするのですか
先生の作品なら
少なくとも100万で売れますよ」
画家は
そう言われてもなお
気に入らない作品は破いてゴミ箱へ捨てることをやめません
「もったいないなぁ
高く売れるのに
なぜ捨てちゃうんだろう」
と私が父に尋ねると
父は考えてみるように言いました
やっぱりもったいないと思う私
答えはもらえず
もやもや感がいっぱい
あるとき ふと
財産と言うのは
100万で売れる絵じゃなくて
そうした絵を
いつでも好きな時に描き続けられる腕じゃないかと
気付いたものです
絵は盗まれることもある
盗まれて自分のものじゃなくなるようなものは
ほんとの財産とは言えないんじゃないかなと
思ったものでした
誰にも盗まれない翼 持ってるから
身 一つでいいんだよね